ANEMA E CORE


by kazem2
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

[チョ・ウジンの耳をすませば] 過ぎ去った汚れの記憶


<喪失の時代(ノルウェイの森)>のサウンドトラック<尚子が死んだ>
e0109292_11371169.jpg




告白しようとするなら、今 村上春樹は読まない。
いつからだったのかなぜそうだったのかとにかくそのようになった。 <喪失の時代><風の歌を聞いて下さい><一角が夢><世界の終りとハードボイルドワンダーランド>がすべてだったようだ。 ところが、20代を考えるたびに、その文が最初に浮上する。 90年代初頭のほとりに春樹を読んだ私に、春樹はどうしようもない90年代の汚れである。 トランアンフン監督やレディオヘッドも同じだ。 だから<喪失の時代>とジョニーグリーンウッドの組み合わせは、思い出が鮮明になる。 改めて告白しようとすると、映画館ではどうしようもなく何度も涙がにじんだ。 尚子と、渡辺、みどりのためではない。 過去の自分に出会ってしまったからだ。

サウンドトラックには、<尚子が死んだ>が最も印象的だ。 渡辺は、人里離れた海辺で大声で泣くシーン。 この時、画面には、音楽だけ流れるのに巨大な質量のサウンドが押しかけるのが壮観だ。 映画を見たあとはこのような覚醒が残る。 私はこの小説の最初のキスも前に読んだ。 メールも携帯電話もなかった時代、だから60年代と90年代が別段違わないように思われてきたころに読んだ。 今では決して、決して、再びそれに戻ることができない。 ところが、それはなんと幸いなことだろうか。

文:チャ・オジン( 大衆音楽評論家 ) 2011.05.27
by kazem2 | 2011-05-29 11:48